ここは観空の家。
通称「空の色」と呼ばれる仮想空間に存在する地下室。
ここでは吸血能力を持つ観空が、己が目にかなった相手をじっくりと「食事」する場所である。
そして、今宵も一人・・・・
「ん・・・某は・・・」
燐はおぼろげな記憶をたどりながら目を覚ます
(確か、某はくぅたんと会話していたはずです)
少なくとも燐の記憶はそれを物語っている。
燐の脳内にはつい先ほどまで観空と会話していた場所。
某所某喫茶店がはっきりと思い出せるのだ。
(・・・それにしても・・・某はなんでこんなところにいるんですかねぇ)
辺りの状況を確かめようと燐は身体を起こそうとした。
しかし、燐の身体は座り込んだ地面から離れることは出来なかった。
燐はその理由を確かめるべく自分の身体を見て、愕然とした。
「な、なんです!?コレ!?」
燐の両手首はしっかりと地面から生えた手錠に咥え込まれていた。
普通、手錠をされている現場を説明するなら「付けられていた」が適切である
しかし、この場合はそうではない。
燐の両手首に付けられた手錠はさながら意思を持つかのごとく、うねり、蠢き、燐の両手首をしっかりと「咥えこんでいた」。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
あまりに逸脱した状況に思わず燐は悲鳴をあげた。
元々闇の世界に多少なりともその身をおく燐ではあったが、いくらなんでも唐突すぎた。
対処のための呪法など唱えている余裕がない。
「い、いやぁ!これっ、いやぁぁぁ!!」
燐は必死で抵抗するかのように足をバタつかせる。
無論、その程度のことで動じるような手錠ではない。
むしろ、先ほどよりきつく締めこんだ印象さえ、燐は受けていた。
「そんなに暴れちゃ駄目ですよ、り・ん・た・ん♪」
地下室に向かう足音と共によくとおる声。
「く、くぅたん!」
「でも・・・そうやって暴れていると・・・・」
それだけ言うと観空は意味深に微笑んだ。
「暴れているとって・・・・え?」
そう、今更のように気づいたのもおかしいような話なのだが、自分の魔力が減少していくのを燐は感じていた。
いや、魔力だけではない。
体力、気力も吸われているのだ。
(だからですか・・・)
先ほどから詠唱しようと思っても全く収束されない魔力に加え、
ひたすら抵抗の意思を表すためにばたつかせていた足はすでに動きを止め、
観空の妖艶な視線から身動きすら出来なくなってしまっていた。
「りんたんはとっても魔力が強いですから。
私がするためにはこれぐらいしなきゃ駄目かなって思いまして。手荒になっちゃったんですよ」
観空はそういいながら笑顔を崩さない。
「何が・・・したいんです?」
燐はすでに理解していた。
だが否定したかった。
知っていたはずなのだ。
だが本当の意味で知りたくはなかったのだ。
何より、聞きたくはなかったのだ。
観空が・・・
「私は血を吸うものですから、後そのほか色々」
と、自身の口で語ることを・・・
「・・・・某の血も吸うんですか?」
燐は朦朧とする意識のまま観空を見上げる。
すでに意識は混濁し、そのまま狂ってしまいそうだった。
「勿論、だからこれだけ大掛かりな仕掛けを用意したんだよ」
そういって燐の手首の手錠を指し示す。
「でも、安心してください」
観空はそういうと右手に自身の魔力を収束し始めた。
「今日の記憶はなくなりますから」
収束した魔力を燐にぶつける。
痛みはない・・・だが、代わりに燐のまとっている巫女服がすべて折りたたまれて、観空の手の中に収まってしまった。
「快楽だけを・・・味わってくださいな」
観空は燐に歩み寄ると、燐の首筋にゆっくりと指を這わせる。
「あん!」
燐は自分でもびっくりするほど大きな声をあげてしまった。
そんな燐をうれしそうに眺めた観空は燐の耳元でゆっくりとささやいた。
「もっともっと・・・よくしてあげますよ」
観空はゆっくりと、さながらコワレモノでも扱うような手つきで、燐の胸を蹂躙する。
「ん、っあん・・・」
観空の手がかすかでも動くたび、燐の声は次第に大きく、卑猥なものへと変貌していく。
「極限まで行ってください。そっちのほうが血は美味しくなりますから」
観空は背後に回りこみ、燐の耳元で囁くとおもむろに燐のうなじに舌を這わせた。
「っ・・ん・・・くぅ・・・たん・・・あぁ」
観空の舌は燐のうなじ、耳の裏、鎖骨と順番に、
それこそ丁寧に精密な時計に油を点す細工師のように燐の身体に唾液を浸透させていった。
「こっちのほうなんかもどうでしょう?」
観空は燐にずっと続けていた右手の胸への愛撫を一度中断し、燐の大腿に指を這わせた。
そして燐のソコについていた液体を掬い取ると、自らの口に運んだ。
「もうこんなに美味しくなっちゃってるんですねぇ・・・・そろそろいただいてもいいのかも」
「え?」
燐が言葉の意味を理解するより早く、観空の指は燐の陰部に向かっていた。
燐は足を閉じて、観空の侵入を拒もうとしたがそれより早く指が陰部を蹂躙し始めていた。
「もう、こんなになっちゃってますねぇ・・・手錠の効果ありです」
観空はうれしそうに微笑むと右手で陰部、左手で胸、そして舌で耳とあらゆる角度から燐の身体を弄び始めた。
「あ、うぅん・・・く、はぁっ!」
無論、自身の体力は奪われ、観空の魔力により感度を極限まで高められた燐にコレにあがなう術はない。
それどころか、固く閉じていた足は徐々に開き始め、抑えようとしていた喘ぎさえも押さえが利かなくなっていた。
「あ、あっ、あぁ・・・」
「そろそろ限界が近いみたいですね・・・」
観空はそう言うと、耳へ続けていた愛撫をゆっくりと肩のほうに移した。
そして吸血のために特化した犬歯をゆっくりと燐の肩に押し付ける。
結果、燐の肩からはゆっくりと血液が流れ出した。
だが、燐は痛みを感じることはない。
それどころか、肩から血を抜かれることに恐ろしいほどの快楽を受けていた。
血を吸う間も観空の愛撫は止まることを知らなかった。
むしろ、以前よりいっそう激しさを増すばかりであった。
「あっ、あ、あぁ!!く・・・くぅ、たん・・・そ、某は、某はぁ!!!」
観空はわかっていると言わんばかりに肩から口を離す。
「いいんですよ、我慢することはないですよ・・・」
それだけ言って、再び口を肩の位置に戻す。
そして、愛撫の続きを行う。
少女の喘ぎと淫猥な水音が奏でる独演会。
奏者は吸血鬼である少女。
だが、それももう終わろうとしていた。
燐の絶頂という名の最終楽曲で・・・
「あ、あっん、あぁ・・・あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
さながら生きる命すべてを注ぎ込んだような声をあげて燐は果てた。
観空は満足したように燐から口を離すと、剥ぎ取った巫女服に魔力をかけて燐に着せた。
ふぅ・・・とため息をつくと観空は立ち上がった。
「さて・・・そろそろ後片付けしないとコノハ達が入って来ちゃいそうで怖いですね」
そう言って、魔力を収束、燐を彼女のいるべき場所へと送り返した。
「あ、そうです。忘れちゃうところでした」
もう一度、魔力を収束、燐の記憶を紡いでおいた。
「さて、体力補充も完了しましたし、甘いものでも食べに行きましょうかねぇ」
観空はゆっくりと伸びをすると地下室の階段を一歩ずつ上って行った。
ここは観空の家。
通称「空の色」と呼ばれる仮想空間に存在する地下室。
ここでは吸血能力を持つ観空が、己が目にかなった相手をじっくりと「食事」する場所である。
次の目標はあなたかも知れない。
END
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